運送豆知識

トラック輸送の社会的役割

ドア・ツー・ドア型のフレキシブルな輸送を得意とするトラックは、身近な食料品や衣料・雑貨をはじめ、さまざまな工業製品や建築資材を輸送しています。
また、ガソリンやガスなどの液体や気体も運び、ときには新幹線や船、橋脚なども運ぶことがあります。
その数、実に国内貨物輸送量の9割にあたります。
全国的にコンビニが普及していますが、こうしたコンビニを物流面で支えているのもトラックです。
また、最近急速に成長しているネット通販もトラックなくしては成り立ちません。
実際、東日本大震災の直後には、東日本地域の広い範囲にわたり燃料が不足し、多くのトラックを走らせることができませんでした。
この時、直接被害の大きかった東北地方だけでなく、都市部のコンビニの棚からも商品が消えてしまいました。
日本以外の国では、ストライキでトラックがときどき止まることがあります。
あるとき、スペインではストライキでタンクローリー車が止まり、燃料がガソリンスタンドに届かないため、バスやタクシーが止まり買い物や病院に行けないなど、物資の連鎖的な供給不足に陥りました。仕事に行けない人も多く、経済的にも多くの損失を生みました。
もしもトラックが止まったら」みなさん考えたことがありますか?

全日本トラック協会のyoutubeチャンネルでは、こうした仮想的なケースを見立てたアニメ動画を公開しています

緊急輸送の役割

トラック輸送業界では、大規模自然災害時に国と連携し、緊急・救援物資の輸送を行っています。
東日本大震災では発生直後から業界をあげて対応し、1万台を超えるトラックが全国から結集して被災地に物資を届けました。
災害時の緊急物資輸送において重要な「ライフライン=命綱」としての役割を果たしています。

白ナンバーのトラックと緑ナンバーのトラック

トラックをよく見ると白いナンバープレートと緑のナンバープレートがあります。どのような違いがあるかご存知ですか?
ナンバープレートは大きく分けて4つの種類があり、以下のような分類になっています。

白色(白地に緑字のナンバー)
白色
自家用の乗用・商用車
緑色(緑地に白字のナンバー)
緑色
営業用の乗用・商用車
黄色(黄地に黒字のナンバー)
黄色
軽自家用の乗用・商用車
黒色(黒地に黄字のナンバー)
黒色
軽営業用の乗用・商用車
  • 営業用とは、トラック・タクシー・バスなど荷物や人を運ぶことで運賃収入を得ることを言います。
  • 白ナンバーのトラックを見かけることがあると思いますが、荷物を運んで運賃をもらうのではなく積んでいる荷物を売って収入を得るという違いがあります。
  • また、ナンバープレートの大きさは、大型トラックの「大型番号標44cm×22cm」普通車の「中型番号標33cm×16.5」バイク等の「小型番号標23cm×12.5cm」の3種類があります。

ナンバープレートの秘密

緑のナンバーの数字の前のひらがなは「あ行」と「か行」しかありません。ただし「あ」と「お」が似ているため「お」の代わりに「を」が使われています。
白ナンバーの数字の前のひらがなに「し」と「へ」と「ん」はありません。「し」は死を、「へ」は屁を連想させるからです。「ん」は表現しにくいなどの理由で、また、「れ」と「わ」はレンタカーのみに使用されています。

物流・運輸・運送・配送?

トラックの会社で○○物流とか、○○運送、また、○○運輸など目にすることがあると思いますが、物流・運送・運輸・配送の意味を業界で働いていても説明出来る人は少ないと思います。

物流
生産物を生産者から消費者へ引き渡すまでの一連の流れが物流です。輸送・荷役・梱包・保管・流通加工を行う物的流通を略して物流と言います。○○物流という会社の場合、トラックだけでなく倉庫を保有していることが多いです。
運送
主にトラックを使用し荷物を運ぶことを言います。
輸送
トラックだけでなく、飛行機や船などで運ぶことを含めて使われることが多いです。また特殊な物を運ぶ場合にも使います。(車を運ぶキャリーカーや精密機械、重機など)
運輸
荷物を運ぶことだけでなく、産業や仕事の総称として使うことがあります。運輸には物流、運送、運輸、配送も含みます。
配送
配達して送り届ける事を配送と言います。近い距離や個人の家に荷物を届ける場合に使います。また、荷物を大きさや距離で分けることもあります。

トラックの種類

ウイング車
バン型(箱型)車の側壁が鳥の翼のように開くタイプの輸送車。
防水・防犯などバンの機能を保ちつつ輸送車の側面と後ろから商品の積み降しができます。
平ボディ
屋根のないタイプの輸送車でもっともポピュラーなタイプのトラックでしたが、今ではウイング車の方が多くなったため、平ボディ車は貴重な存在となりました。(新車登録比 平ボディ2:ウイング8)
商品の形状や積載方法の制約がほとんどなく様々な運送の場面で活躍する万能車です。
弊社ではエアサス車を採用しており精密機械の運送にも適しております。
ゲート車
車両の後部に商品を積み降ろしするための昇降装置を装備した輸送車です。
人手では積み降ろし困難な商品もこれ1台で運送から搬入・据付までが可能です。
冷凍・冷蔵車
新鮮な魚や野菜、冷凍食品を運ぶのに欠かせないのが冷凍車です。また、荷室の温度を管理できるため精密機械の輸送にも使われることがあります。歴史は古く、開発のきっかけは戦後 アメリカ進駐軍の食生活の改善の為、アメリカ本国から送られてきた新鮮な食品を、地方基地に輸送するための企業を募集したことに始まります。家庭用冷蔵庫すら普及していなかった時代に低温輸送車両の開発からはじめる要請はとても難しいものだったと思います。
エアサス車
エアサスとはエア・サスペンションの略で圧縮空気の弾力性を利用したサスペンション装置のこと。
エアサスを採用した運送車両は路面からの衝撃を減少させるため精密機械の運送に適しています。
通常の金属バネのサスペンションの場合、定量の荷物を積んだ状態で走行することを想定しているため、軽い荷物や空車時の振動が大きく荷物や運転手に対して負担が大きくなります。
エアサスペンションの場合荷物が重くなれば反発力が強まり、荷物が少ない時には反発力が弱まるように出来ているため振動が小さくなり、快適な乗り心地になります。
また、車高調整の機能も付いているため荷台の高さを調節したり、バスでは乗降時、車高を下げ乗り降りをしやすくすることが出来ます。
メリットも多いのですが、構造上、空気漏れによる故障が多く、定期的な点検や交換が必要になるためコストが多くかかります。
粉粒体輸送車
「粉粒体」を運搬するためのトラックです。バルク車とも呼びます。トラックの荷台がタンク形状になっており、タンク内に粉粒体を充填して運搬します。
粉粒体をタンク上部に設置された扉からタンク内に投入します。扉は、容易に開いて粉粒体が拡散しないようにハッチ式となっています。
運搬後の荷降ろしは、車両搭載のエアコンプレッサーを利用し、圧縮空気と混合し、流動化することで長い距離や高い所にも搬送出来ます。
粉粒体輸送車のタンクには、強度を得るため真円または楕円の筒状のタンクとなっているものと、タンク上部を広くとるために角型のタンクとなっているものがあります。角型のタンクの方が、真円または楕円の筒状よりもタンク容積を大きくとれるため、比重の軽い米や麦、飼料などを運ぶトラックは角型です。
ちなみに荷台がタンク形状のトラックをタンクローリーと呼びますが、「ローリー」は,「トラック」と同意語で、ローリーはイギリス英語、トラックはアメリカ英語です。

大きさによる分類と免許証

大型トラック 中型トラック 小型トラック
全長 12m以内 12m以内 4.7m以内
全幅 2.5m以内 2.5m以内 1.7m以内
全高 3.8m以内 3.8m以内 2m以内
最大積載量 6.5t以上 6.5t以内 3t以内
車両総重量 11t以上 11t以内 5t以内
10tトラックの事です。運転するには大型免許が必要です。 4tトラックの事です。中型免許が必要です。旧型普通免許なら総重量8トン以下の車両に乗れます。 2t・3tトラックの事です。準中型免許か旧型普通免許で運転出来ます。また総重量3.5トン以下なら普通免許で運転することが出来ます。
  • 実は大型トラックと中型トラックでは積載量の違い以外は大きさの限度は同じです。軽い荷物(発泡スチロール等)を運ぶ専用の中型トラックでは、大型トラックと同じ大きさのめずらしいトラックもあります。(業界ではオバケとかジャンボと呼んでいます)
  • 他に、トラックの中で一番大きなトレーラーやクレーンの付いたトラックなどもあります。

 必要な免許証(とても複雑でわかりにくいですね。)

大きさと免許

『トレーラー』ってどんなトラック? 種類・大きさ・構造?

運転席と荷台部分が分離できる構造のものを牽引(けんいん)自動車といいます。牽引自動車は、運転手が乗り牽引するための装置(エンジンやハンドル)を持つ自動車をトラクターと言い、荷台部分をトレーラーと言います。つまり、トレーラーはトラクターがないと走行することが出来ないのです。

トレーラーには大きく分けて2種類があるのをご存知ですか?

まず、みなさんがトレーラーと聞いて思い浮かべるのがセミトレーラーです。トラクター部に荷台の無い引っ張る専門のトラックです。もう一つが、弊社に保有していますフルトレーラーです。セミトレーラーとは違い、トラクター部にも荷台があるためトレーラーを切り離して トラクター部単体で輸送を行うことが出来ます。また、全長もセミトレーラーの連結時の全長18m以下に対しフルトレーラーは連結時の全長21m以下と長く一度に多くの荷物を運ぶことが出来ます。さらに、現在、この上限を25mに緩和するための実証実験を国が実施しています。これは、深刻なドライバー不足が進行するトラック輸送の省人化を推進するための方策のひとつとされています。

トレーラーの最大の魅力は、大量輸送における作業を効率良く行えることにあります。
一度にたくさんの荷物を運ぶことが出来るトレーラーを導入することで、作業の効率化がはかれ、輸送に係るコスト(燃料費・人件費・車両管理費等)が削減出来ます。CO2排出量も抑えることが出来るため環境にも優しいトラックです。

大物や大量輸送においてメリットの多いトレーラーですが、さまざまな制約もあります。
トレーラーは、輸送経路が適応する規格であることが絶対条件です。また、ドライバーには、大型トラックと牽引の二つの免許の取得が求められます。操作もとても難しいため運転のできる人は、ほかのトラックに比べ少ないのが現状です。

ユニック車とは?

トラックに荷台クレーンの付いたトラックを多くの人がユニック車と呼びます。
実はユニックという名は正式な形状名ではなく「古河ユニック株式会社」の商品名です。なので、正しくは積載型トラッククレーンと呼びます。
トラッククレーンの最大の特徴であるクレーンは伸び縮みする竿の部分をブームと呼び用途によって長さを調整することが出来ます。そして荷物を持ち上げることの出来る数量、吊りトン数とも呼ぶクレーン荷重は2.63t~2.93tが主流です。また、クレーンのメーカーは色によって見分けることができ、赤が「古河ユニックのユニック」青が「タダノのカーゴクレーン」黄が「加藤製作所のキャブバック」となります。ですので、赤いクレーンのトラックはユニック車と呼んでも正解です。

トラッククレーンを扱う場合にはトラックの免許のほかにクレーンを操作するための資格が必要です。吊り荷重によって必要なものが異なり3つに分かれています。

1.移動式クレーンの運転に係る特別教育 吊り荷重0.5t~1t未満
2.小型移動式クレーン運転技能講習 吊り荷重 1t~5t未満
3.移動式クレーン運転士免許 吊り荷重5t以上